この1年くらいで眠りが浅くなった。
もともと、友人に「おやすみ3秒」と言われるくらい寝つきがよく、泥沼に沈むように深く眠れることが自慢だったのに、最近は眠って1時間は1時間半ほどすると、ぱちりと目が覚めてしまう。
若いころは眠れないことにあせりを感じたけれど、今はもう慣れたもので、喉の渇きを癒し、トイレに行って、ベッドに戻ったらなにもなかったように、また寝る前のルーチンである本読みをしている。
ひどいときはこのルーチンを3回くり返す夜もある。
でも、あせることはない。
ひと晩くらい寝なくても死なないから、そう自分に言い聞かせて、また眠気に襲われるのを待てるようになった。
それでも、ときどき、また眠れないんだなあとベッドに腰掛けてささやくような声を出す夜もある。
誰にきかせるでもなく。
マンガの吹き出しのように、ぽそっと言葉を発する。
昨晩はルーチン中に、ふいに大学の図書館を思い出した。
高校を卒業してすぐ通った方と、通信で通った方のふたつの大学図書館。
どちらも好んで座る定位置にしている席があり、友人にもやっぱりここにいた、とよく言われていた。
もちろん調べものをしたり、レポートを書いたりもしたけれど、わたしはよくそこで居眠りをした。
湿気た匂いにひんやりした机。微かに感じる人の気配。
腕に乗せるおでこの収まりのいい位置が決まると、安心してすとんと眠れた。
深い深い水の底に落ちてゆくような、それが永遠に続くような、あの眠り。
憧れる。
あの場所でまた眠らせてはくれないだろうか。
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by fastfoward.koga
| 2022-09-29 21:50
| 一日一言
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