冷凍保存から目覚める
電車が駅で止まった。
大きく開いたドアの向こうに、朝の陽射しに照らされた新緑の葉が見えた。
あまりの瑞々しさに初夏を感じていたそのとき、いつもの自問自答のジモンが頭の中に現れた。
今が初夏だとわかっているから、緑がまぶしく見えるんじゃあないだろうか。
もし数10年、数100年冷凍保存でもされてこの命がそのとき甦り、目が覚めたときに同じものを見て同じことを思えるだろうか。
朝はそんなことを考えていた。
夕陽が車内に射しこみ、ふいにそのことを思い出して再びジモン登場。
どれだけ自分が眠り込んだかわからず目を開いたとき、最初に飛び込んできたもので自分は季節を感じうるだろうか。
触れる空気、陽射しの柔らかさ、空の高さと青さ、時には雲の形。
緑の色、鮮やかな花、甘い香り。
長年の闇から五感の溢れる世界に飛び込んだら、逆によくわかるかもなんてことを思ったり。
結局人は、季節を五感とともに記憶にパウチしているようで、自分のほうが季節が溢れる世界に包まれてパウチされているのだ。
そうやってぼんやりしながらいく駅も通過しているうちに、この夕陽はもう2度と見られないのかと、急に感傷的になった。
でも太陽は、変わらず明日も昇ってくる。
じゃあまた見られるじゃないかと思ったところで、はたと気づく。
気温も、雲も、川の水かさも、すべてが同じじゃないと、発するものが同じでも発したものは違うんだなあと。
反対側のシートに座る人の隙間から夕陽をしばらく眺めて、膝の上の本に視線を戻した。
余白の多いページの上には、太陽の残像がミトコンドリアみたいな形でふたつ見えた。
いつまでそのままだろうと、白い紙の上でいつまでもそれを追いかけた。
大きく開いたドアの向こうに、朝の陽射しに照らされた新緑の葉が見えた。
あまりの瑞々しさに初夏を感じていたそのとき、いつもの自問自答のジモンが頭の中に現れた。
今が初夏だとわかっているから、緑がまぶしく見えるんじゃあないだろうか。
もし数10年、数100年冷凍保存でもされてこの命がそのとき甦り、目が覚めたときに同じものを見て同じことを思えるだろうか。
朝はそんなことを考えていた。
夕陽が車内に射しこみ、ふいにそのことを思い出して再びジモン登場。
どれだけ自分が眠り込んだかわからず目を開いたとき、最初に飛び込んできたもので自分は季節を感じうるだろうか。
触れる空気、陽射しの柔らかさ、空の高さと青さ、時には雲の形。
緑の色、鮮やかな花、甘い香り。
長年の闇から五感の溢れる世界に飛び込んだら、逆によくわかるかもなんてことを思ったり。
結局人は、季節を五感とともに記憶にパウチしているようで、自分のほうが季節が溢れる世界に包まれてパウチされているのだ。
そうやってぼんやりしながらいく駅も通過しているうちに、この夕陽はもう2度と見られないのかと、急に感傷的になった。
でも太陽は、変わらず明日も昇ってくる。
じゃあまた見られるじゃないかと思ったところで、はたと気づく。
気温も、雲も、川の水かさも、すべてが同じじゃないと、発するものが同じでも発したものは違うんだなあと。
反対側のシートに座る人の隙間から夕陽をしばらく眺めて、膝の上の本に視線を戻した。
余白の多いページの上には、太陽の残像がミトコンドリアみたいな形でふたつ見えた。
いつまでそのままだろうと、白い紙の上でいつまでもそれを追いかけた。
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by fastfoward.koga
| 2010-05-13 20:58
| 一日一言
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