火の国 「まあいっか」
2007年 07月 08日
ホテルのベッドで目が覚めて、すぐに外の音に耳をすました。
雨音は聴こえない。
もそもそと起き上がり、カーテンの隙間から頭だけを出して窓の外を確認した。
地面は濡れているけれど、降った直後の瑞々しさはどこにもない。
前日の天気予報では、熊本市内は曇りと雨マークになっていた。
それが曇りのち雨なのか、曇り時々雨なのか、曇り一時雨なのか、わからないまま画面が替わってしまったので、結局予報は予報の役目を果たせなかった。
空を見上げて、今日は一体どんなものかと考えた。
いつもの旅の朝よりもテキパキと支度をし、ホテルを出た。
途中のファーストフードで朝食をとり、熊本駅行きの路面電車に乗り込んだ。
熊本駅に到着し、きっぷ売り場に直行。
路線図を見上げて、即座に阿蘇駅までの切符を購入した。
改札では、まず乗車ホームと運行停止の区間を知らせる案内を確認した。
よし、問題なし、と隅にあるホームへまっすぐ歩き出した。
ちょうどホームに電車が到着したところだった。
改札へ向かう乗客の波に飲み込まれないように、広いホームの隅っこを歩いた。
ふと目をやると、熊本から大分へ抜ける豊肥線の路線図が示された看板があった。
熊本駅と阿蘇駅の位置、そしてこのあと乗る電車の行き先を確認して、一瞬目を疑った。
電車の終着駅は、熊本から阿蘇の間にある肥後大津駅までになっていたのだ。
1本で行けるものだと思い込んでいたわたしは、あららららと呆然とした。
でもすぐに意外に時間がかかるのだと、地図では距離感や高低さがつかみにくいいつもの旅の失敗を思い出し、気を取り直して電車に乗り込んだ。
果たして、阿蘇には何時ぐらいに到着できるのか。
気になって携帯の乗り換え案内で検索してみた。
検索結果には、9時15分発の熊本発の電車に乗ると、阿蘇駅には11時53分着と出た。
そんなにかかるのかと思い画面を見直して、あちゃーっと思った。
乗り換えの肥後大津駅で、1時間以上の待ち合わせ時間があったのだ。
いつもならどう転んでもいいように、自分の行動パターンを考えて下調べをするのがわたしの旅だ。
でも今回はなぜかそれをせずに、とりあえず行ってみようというきもちで旅に出た。
普段ならしない失敗だった。
前日も、空港からバスに乗り、下車したバス停からホテルまで道がわからなくってホテルへ電話をかけた。
これもいつもなら事前にホテルまでの地図をプリントアウトするのは、当たり前のことだった。
でも携帯の地図とガイドブックから読み取った頭の中の地図でなんとかなるかとバス停から歩き出し、それが真逆に歩いていってしまっていたようでずいぶん遠回りをしてしまった。
わたしは前日の失敗を思い出し、やっぱり最低限のことを調べるべきだったなと後悔をした。
でも、なぜかその日は、後悔の波はすーっと引いてしまい、まあいっかと思うきもちが沸いてきた。
それでも肥後大津駅に着いてから、1時間後に出る電車以外に阿蘇へ向かう方法がないかと周辺をきょろきょろと見回した。
それがダメならせめて時間を有効に使えるようなものがないか、と考えた。
が、数分でどちらの可能性もないことを悟り、改札を出た広めの待合室に腰を落ち着けた。
初めは、持っていた文庫本を開いた。
自販機で買ったよく冷えたミルクティを飲みながら、しばらくはそうして時間を過ごした。
でもふと小さな駅の待合室にぼんやりと座っている自分がおかしくなり、これはネタだと気づいた。
このおかしさは誰かに伝えなくてはならない! といつも手帳にはさんでいるハガキとペンを取り出した。
手帳を机代わりにして、2通のハガキを書いた。
そして持ち歩いていた切手を貼り、待合室の窓から見えていたポストにすぐに投函した。
ポストの回収時間は数時間あとだなと表示を確認し、いつぐらいに届くのか、そんなことに思いを馳せた。
そうこうしているうちに、阿蘇へ向かう宮地行きの電車がホームに入ってきた。
待合室からふたたび改札を抜け、停車している電車に乗り込んだ。
そこでまた出発までの間に文庫本を開けること数10分。
11時01分に、やっと電車は動き出した。
阿蘇山の中岳には何時に辿りつけるのか。
これまたわからんなーと、わたしは予想外に退屈を楽しんでいた。
目に付くようになってきた「阿蘇」の文字。
車窓の景色は、さっきとは違う景色。
少しずつ近づく阿蘇山に、わくわくのスイッチが入った。
こうして、待ちぼうけの旅はまだまだ続く。
雨音は聴こえない。
もそもそと起き上がり、カーテンの隙間から頭だけを出して窓の外を確認した。
地面は濡れているけれど、降った直後の瑞々しさはどこにもない。
前日の天気予報では、熊本市内は曇りと雨マークになっていた。
それが曇りのち雨なのか、曇り時々雨なのか、曇り一時雨なのか、わからないまま画面が替わってしまったので、結局予報は予報の役目を果たせなかった。
空を見上げて、今日は一体どんなものかと考えた。
いつもの旅の朝よりもテキパキと支度をし、ホテルを出た。
途中のファーストフードで朝食をとり、熊本駅行きの路面電車に乗り込んだ。
熊本駅に到着し、きっぷ売り場に直行。
路線図を見上げて、即座に阿蘇駅までの切符を購入した。
改札では、まず乗車ホームと運行停止の区間を知らせる案内を確認した。
よし、問題なし、と隅にあるホームへまっすぐ歩き出した。
ちょうどホームに電車が到着したところだった。
改札へ向かう乗客の波に飲み込まれないように、広いホームの隅っこを歩いた。
ふと目をやると、熊本から大分へ抜ける豊肥線の路線図が示された看板があった。
熊本駅と阿蘇駅の位置、そしてこのあと乗る電車の行き先を確認して、一瞬目を疑った。
電車の終着駅は、熊本から阿蘇の間にある肥後大津駅までになっていたのだ。
1本で行けるものだと思い込んでいたわたしは、あららららと呆然とした。
でもすぐに意外に時間がかかるのだと、地図では距離感や高低さがつかみにくいいつもの旅の失敗を思い出し、気を取り直して電車に乗り込んだ。
果たして、阿蘇には何時ぐらいに到着できるのか。
気になって携帯の乗り換え案内で検索してみた。
検索結果には、9時15分発の熊本発の電車に乗ると、阿蘇駅には11時53分着と出た。
そんなにかかるのかと思い画面を見直して、あちゃーっと思った。
乗り換えの肥後大津駅で、1時間以上の待ち合わせ時間があったのだ。
いつもならどう転んでもいいように、自分の行動パターンを考えて下調べをするのがわたしの旅だ。
でも今回はなぜかそれをせずに、とりあえず行ってみようというきもちで旅に出た。
普段ならしない失敗だった。
前日も、空港からバスに乗り、下車したバス停からホテルまで道がわからなくってホテルへ電話をかけた。
これもいつもなら事前にホテルまでの地図をプリントアウトするのは、当たり前のことだった。
でも携帯の地図とガイドブックから読み取った頭の中の地図でなんとかなるかとバス停から歩き出し、それが真逆に歩いていってしまっていたようでずいぶん遠回りをしてしまった。
わたしは前日の失敗を思い出し、やっぱり最低限のことを調べるべきだったなと後悔をした。
でも、なぜかその日は、後悔の波はすーっと引いてしまい、まあいっかと思うきもちが沸いてきた。
それでも肥後大津駅に着いてから、1時間後に出る電車以外に阿蘇へ向かう方法がないかと周辺をきょろきょろと見回した。
それがダメならせめて時間を有効に使えるようなものがないか、と考えた。
が、数分でどちらの可能性もないことを悟り、改札を出た広めの待合室に腰を落ち着けた。
初めは、持っていた文庫本を開いた。
自販機で買ったよく冷えたミルクティを飲みながら、しばらくはそうして時間を過ごした。
でもふと小さな駅の待合室にぼんやりと座っている自分がおかしくなり、これはネタだと気づいた。
このおかしさは誰かに伝えなくてはならない! といつも手帳にはさんでいるハガキとペンを取り出した。
手帳を机代わりにして、2通のハガキを書いた。
そして持ち歩いていた切手を貼り、待合室の窓から見えていたポストにすぐに投函した。
ポストの回収時間は数時間あとだなと表示を確認し、いつぐらいに届くのか、そんなことに思いを馳せた。
そうこうしているうちに、阿蘇へ向かう宮地行きの電車がホームに入ってきた。
待合室からふたたび改札を抜け、停車している電車に乗り込んだ。
そこでまた出発までの間に文庫本を開けること数10分。
11時01分に、やっと電車は動き出した。
阿蘇山の中岳には何時に辿りつけるのか。
これまたわからんなーと、わたしは予想外に退屈を楽しんでいた。
目に付くようになってきた「阿蘇」の文字。
車窓の景色は、さっきとは違う景色。
少しずつ近づく阿蘇山に、わくわくのスイッチが入った。
こうして、待ちぼうけの旅はまだまだ続く。
by fastfoward.koga
| 2007-07-08 22:43
| 旅行けば
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